理事長所信

“縁”

~一縁を笑う者は一縁に泣く~

山崎英樹

私が幼き頃から、胸のバッジに誇りを持ち、「明るい豊かな社会の実現」のために行動する大人たちを知っている。亡き祖父に連れられて参加したお祭りで、こどもじょうきを引っ張ったことを今も私は覚えている。体の大きな相手とぶつかった相撲大会で、投げ飛ばされて泣いている私を大きな声で励ましてくれた大人たちを覚えている。その大人たちの背中はとても大きく、格好良かった。そして、大人たちは誰よりも暖かかった。そんな大人たちに私は憧れていた。

 憧れた大人たちの背中を追いかけ、私は出雲青年会議所の門を叩いた。活動の本質など分かっていない私は、少しJCを知っているようで何も分かっていない、頭でっかちな新入会員だった。比べられることを極端に嫌い、そのくせプライドは人一倍高いメンバーだった。

 事業が上手くいかず、自分の無力さに途方に暮れたこともあった。友とぶつかり、自分が嫌になったこともあった。熱き思いを堪えきれず涙することもあった。しかし、これらの経験が私の考え方を変え、行動を変え、そして私を少しだけ強くしてくれた。出雲青年会議所とは、活動を通し人と人が磨き合う場所。よく学び舎とも表現される。活動が深まるほど私は出雲青年会議所が好きになり、そしていつの日からか私の誇りとなった。

<現在>

 2020年初頭、世界中を瞬く間に襲った新型コロナウイルス。私たちの活動に制限を加え、生活は変わり、経済活動を変えていきました。解決にはまだまだ時間を要すると思われ、今現在も様々な制限の中で活動をしています。

 こうした状況の中で活動していると、「あたりまえ」への感謝と「受け入れる」覚悟という感情が沸き上がってきます。「あたりまえ」に家族がいて仕事ができること、「あたりまえ」にJC活動ができること、「あたりまえ」に今日も一日生きていることがどれほど尊い日々だったのか。「あたりまえ」に生きていることに感謝し、「あたりまえ」ではないこの一瞬一瞬がかけがえのない大切な物に思えます。

 そして、「受け入れる」。江戸時代末期に生きた禅宗の僧侶、良寛が次の言葉を残しています。「災難に逢う時節には災難に逢うがよく候死ぬ時節には死ぬがよく候これはこれ災難をのがるる妙法にて候」これは良寛が地震の被害に遭った親友を見舞った手紙の中にある言葉です。生きていく中で、不運が続き、大災害に遭おうとも、あるがままに受け止め、今できることを一生懸命やるしかない、というメッセージです。困難を「受け入れる」ことは簡単にはできません。しかし、起こってしまった以上は「受け入れる」覚悟を決め、心の持ち方、行動や言動を変化させることです。

 時に変化とは、成長という言葉にも置き換えられます。青年会議所の使命の一つに「青年に成長と発展の機会を与える」とあります。「縁」あって私たちが青年会議所で共に活動するのであれば、「あたりまえ」に活動できていることに感謝し、社会環境の変化に恐れることなく多くの困難にも立ち向かい、「地域に変化を起こす人」へと成長を遂げることができるよう、積極果敢に青年会議所運動に邁進してまいりましょう。

<未来>

 創立から65年目を迎える出雲青年会議所は、「明るい豊かな社会の実現」という永遠の命題に向けて運動を展開しています。2021年は、この命題に「縁」というキーワードを含めて活動を行ってまいります。「縁」には、知らぬ間に繋がった「縁」もあれば、何か予感があり繋がる「縁」もあります。

 ただ、「縁」は感謝の心、物事を素直に受け取る心が無ければ感じることはできないと考えます。「縁」あってこの地域に生まれ、この地域で活動するのであれば、地域のために新たな社会を創出する運動を展開することが私たち青年に課せられた使命です。メンバー一人ひとりが青年会議所活動で得ることのできる多くの「縁」に感謝し、世のため人のためにと利他の心を持って活動することで、私たちが目的とする「明るい豊かな社会の実現」へ近づけると考えます。

 青年会議所には、活動を通して自分を成長させてくれる無数のチャンスがあります。人との出会いを「縁」と呼ぶのであれば、青年会議所にある無数のチャンスも「縁」であると考えます。勇気を持ってチャンスを掴み行動すれば、新たな友や敬愛する先輩、そして自分を磨いてくれる人と出会うことができます。

「一縁を笑う者は一縁に泣く」

 勇気を出して自らの殻を破り、まずは一歩踏み出してみよう。居心地の悪い空間にも果敢に飛び込んでみよう。迷ったときこそ、何も恥ずることなく青年らしく思い切って行動してみよう。立てた志に臆することなく、新たな「縁」を求めて歩き出そう。「縁」が自分を変革し、まちを変革する糧を与えてくれます。「縁」から生まれる「明るい豊かな社会の実現」に向けて共に歩んでいこう。

<具体的政策>

長期、短期の展望と事業展開について

 65年目を迎える出雲青年会議所の歴史において、最も大切にしなければならないのは創始の精神に他なりません。運動を展開していく中で何か迷ったときには、まずはこの創始の精神に立ち返り、積極的な運動を展開してまいります。

 そして、長期的に出雲青年会議所を見たとき、時代に沿った組織作りは必要不可欠です。時代に合わない組織は衰退し、いつか無くなってしまいます。組織改革は急務であり、長期的な視点に立ち、出雲青年会議所の不変の価値観を大切にした組織の在り方を考えてまいります。

 また、中期ビジョン「奏でるIZUMO~Personalto Public~」4年目に当たる2021年は、これまでの取り組みを更に加速させてまいります。共に出雲の未来を奏でる友(パートナー)を見つけ、手を取り合って活動を行います。そして、出雲の新たな未来を奏でる友と共に、出雲のまちに新たなハーモニーを響かせてまいります。

組織並びに運営について

「シン・イズモの創造」

 未来のまちの創造、未来に向けた効果的なひと・まちへの投資。世界の流れが急激に変化している時、旧態依然としたまちづくりでは、まちは衰退する一方です。未来に向けて共に学び、共に語り合い、共に未来をデザインし、意見を戦わせることが必要となります。未来を作るためには3つの要素があります。まず一つ目は「夢」。これはどういう世界を創りたいのかのビジョンであり課題意識です。二つ目は「技術」。掲げたビジョンを技術的にどうやって解決するか。そして三つ目が「デザイン」。私たちの目指すべき姿を見定め、無限に広がるキャンバスに価値あるデザインを青年らしく描いてまいります。

「行政参加への意識の向上」

 市民の行政参加という観点から見ると、このまちの市民の行政参加は本当に盛んなのでしょうか。2019年、出雲青年会議所ではパブリックコメントを通した行政参加について事業を行いましたが、行政参加の最たるものが選挙であると考えます。

 2021年は、出雲市長選・出雲市議会議員選挙が行われる年です。出雲青年会議所は、公開討論会等を開催し、まちの未来を考える機会の一端を担っていますが、市民の行政参加の指標の一つである投票率の低さに、愕然とするところもあります。投票率の低さには様々な理由があると思われますが、数字の検証と仮説を見出し、選挙こそが市民の行政参加、という意識付けへと変革してまいります。

「型破りな人財の育成」

 物事には、原理原則があります。原理原則は不変のものであり、この先どのような時代が訪れようとも変わりません。また、原理原則とは「型」とも呼ばれます。よく「型破り」という言葉がありますが、これは「型」ができて初めてできることです。私たちが生きていく中で、原理原則は心の土台となり、その土台が強靭になればこそ、自らの成長のスピードも増すと考えます。

 「人は人を磨く砥石である」と考えるのであれば、遠方に友を求め、新たな友と意見を交わすことも「型」を破る一つの方法だと考えます。

 まちの成長には人の成長が必要不可欠です。最先端を学ぶことも大事ですが、土台となる原理原則を学び、新たな友と磨き合うことを通して、「型破り」な人財の育成を行ってまいります。

「持続可能な組織への変革」

 出雲青年会議所には時代が移り変わっても、残していかなければならない伝統と、時代に沿って変革していく伝統があります。ただやみくもに変革をするのではなく、一つ立ち止まり過去を見てみましょう。出雲青年会議所には、これまでの歴史の中で、先輩諸兄が不変の価値観として育まれたブランドが存在します。このブランドを再度見直し、棄損させることなく、これからの時代にあった青年会議所の在り方を議論してまいります。

 「変化に対応できない生物はやがて滅んでいく」時代の変化が激しい今、変化を受け入れることができなければ、出雲青年会議所の未来は無くなってしまいます。更なる組織改革を推し進め、これからの時代にも必要とされる持続可能な組織を構築してまいります。

「美しい組織運営と情報発信」

 出雲青年会議所の組織運営には美しさを感じます。それは、一人ひとりが自分を律し、その時々の立場で行動することで醸し出されます。例会や諸会議での凛とした空気感は、それまでせわしなく動いていた自分の心と対話する瞬間であり、自分を見つめる時間となります。そして、おもてなしの心を持った設営は時に感動を呼び、おもてなしをする側、受ける側それぞれの心を豊かにします。

 また、私たちが行っている活動は、世のため人のために誇れることばかりです。そうであるならば、積極的な情報発信が求められます。情報量はこの数年で格段に上がっており、情報伝達手段も様々です。出雲青年会議所の今を活発に発信し、私たちの活動を多くの人に知ってもらいましょう。

「縁を大切にした会員増強」

 同じ志を持った仲間が、40歳までという限られた時間の中で、多くの時間を過ごす青年会議所。ここで私を磨いてくれる多くの先輩、友人と「縁」をいただきました。この「縁」こそ、出雲青年会議所の魅力の一つであります。この青年会議所に多くの仲間を迎え入れようとするのであれば、まずは私たち一人ひとりが自らを律し、魅力あるメンバーにならなければいけません。魅力あるメンバーが集まれば魅力ある組織となります。会員拡大の結果は、出雲青年会議所が行った活動の通知表と言えると考えます。

 2021年の会員拡大は、会員の資質を高めるがための会員増強を念頭に置き活動を行ってまいります。メンバーそれぞれが、事業に参加し多くを学び、青年会議所運動に誇りを持ち、それを伝播していけば必ずや会員拡大は成功すると考えます。会員拡大の難しさを、外部環境に求めず、組織の内部環境への評価だと考え、自らを厳しく律し、私たち一人ひとりが魅力ある人間になれるよう努力してまいりましょう。

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